ナオの Anytime Smile Communication

第20回 「俺は○○なんだよ!」「えっ、それって違うんじゃない??」
〜相手を頭ごなしに否定しないコミュニケーションはいかがでしょう?〜

ナオが働いている歯科医院に、いかにも江戸っ子のとても面倒見の良い近所の八百屋さんのご主人が初めていらっしゃった日のことです。(ナオは歯科衛生士でもあるのです。)
ナオがお口の中を見ると…。歯みがきが自己流でみがき残りが多いので、自覚症状がなく進んでしまう歯周病がかなり進んでしまっています。
しかしご主人は自覚症状がないので「俺の歯ぐきは丈夫だ!」と自信を持っています。
しかし、専門家の立場で見ると「そうじゃないんじゃないの?」というのが現実です。こんな時にご本人の思いこみをはずして視野を広く持ってもらうためにはどんなコミュニケーションがあるのでしょうか?
「あなたの歯ぐきは、これこれこういう理由で、じつは健康ではないのです。だから歯みがきをしましょう。」と理路整然と理由を説明すれば納得してもらえるでしょうか?
ナオの今までの経験ではこれで納得する患者さんもいますが、「いや自分は丈夫だと思っているし、困ってないから。」と反発する患者さん、現実をつきつけられて落ちこんで(涙ぐんで)しまう患者さんなどがいました。
どのコミュニケーション方法が万人に対して正解というのはないのは当たり前のことですが、このご主人にこのように言っても納得してもらえないような気がしたのです。

そこでナオが話したのは…
「歯ぐきは今まで丈夫だったんですねぇ。」
「おぉ、そうなんだよ。俺はむし歯にはなったけどさ、歯ぐきは丈夫なの。」
「もともとが健康な方なんですよね。きっと風邪もあまりひかないのでは?」
「うん。そうそう。(健康自慢が続く…)」
「それだけ健康な方だから、今まで歯槽膿漏が進まなかったんですねぇ。普通の人だったらこれだけ汚れがあると歯がぐらぐらして抜けてしまってもおかしくないのですが。」
と言って普段自分では見ることのない歯の汚れ(=現実)を見てもらいました。そして、その汚れをその場で取りました。
するとご主人は、「いやぁ、なるほどね。さっぱりしたなぁ。これからは自分でもちょっと頑張るよ。」と通院や歯みがきに対する意欲を持ったようでしたし、なにせ表情が変わったのでした。

このように、はじめから「あなたは間違っています!」的なメッセージを伝えるのではなく、ご本人が思っていることをまず認めて信頼関係(ラポール)を築いてから現実を伝えた方が、相手の方に伝わりやすいのかもしれません。
同じようなことは相手が自分の配偶者や恋人、上司、部下であっても起こりうることですよね。目上の人に対して「それは違っているのでは?」とは言いにくいですし、近しい人や目下の相手に対してでもそのように頭ごなしに言って相手が納得してくれることは少ないかもしれません。
ナオは「これからいろいろな人と接する時気をつけよう。」と改めて思ったのでした。

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